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楽曲解説 ] |
Text by 沖野修也(Kyoto Jazz Massive) |
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01. |
Paradise
feat. COMA-CHI |
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今や、J-POP界で圧倒的な存在感を放つ女性ボーカリスト兼ラッパー、COMA-CHI。
渋谷のクラブ、The Roomから産み出されたこのリアルなコラボは、DJ KAWASAKIにとって大きなチャレンジとなった。初の日本語。そして、彼が敬愛して止まないデトロイト・テクノへのオマージュとも言えるエレクトリックなトラック。その両者の融合は、かつてない音楽の誕生を実現した。 |
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世間の予想を裏切るアンダーグラウンドでカッティング・エッジなサウンドは、DJ
KAWASAKIの新境地を象徴する1曲。既にダンス・フロアーに狂喜の渦を巻き起こし、国内外のDJ達から絶賛されている。インストなのに、激しく精神を高揚させるパーティ・チューンは、歴史に残る名曲となるに違いない。 |
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03. |
Say
You'll Stay feat. Andrea Love |
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兼ねてからアルバムの中に分散されていたディープ・ハウスとデトロイト・テクノの影響を、アルバム単位で融合させるというDJ
KAWASAKIのトライが見事に成功した事を証明したのが、この「Say You'll
Stay」。コズミックな世界観とAndrea Loveのソウルフルなボーカルが完璧にマッチしている。 |
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従来までのDJ KAWASAKIのファンを魅了しながらも、弦楽器とピアノにダーティーなベース・ラインとテクノ的なシーケンスを組み合わせた実験的楽曲。美しいストリングスは、1st、2ndにも参加して来た朋友、Kirill
Kobantschenko(ウィーン・フィル・ハーモニック・オーケストラに所属するストリングス奏者)とDJ
KAWASAKIとの華麗なるコンビネーションは健在。 |
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05. |
Feel
The Music feat. Tasita D'Mour |
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「You Can Make It」や「Elevate
Your Mind」でお馴染み、Tasita D'Mourが参加した、フューチャリスティック・ブギー。ベースにKyoto
Jazz Massiveファミリーの一員として積極的な活動を続けるROOT SOULこと池田憲一をフィーチャー。ソウル・ミュージックでありながら、日本人の琴線に触れる憂いのあるメロディーが秀逸。 |
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ハウス・ビートを排した、インストゥルメンタル・トラック。テクノ/フュージョン/ブラジリアンを消化したその作風は、師匠筋に当たるKyoto
Jazz Massiveに通じるものがある。歌が無くとも、ここまで説得力のある楽曲は非常に珍しい。本アルバムの大部分をサポートする45ことSWING-Oのキーボード・ワークも見事。 |
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07. |
Love
Crash Down feat. Fyza |
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アンビエント・ソウル風の佇まいをみせる極上のボーカル曲。透明感溢れるトラックに、Fyzaの流麗な歌声がハマっている上に、随所に散りばめられたテクノ的なアプローチが心憎い。本作の中でも最後にボーカルを録音した事もあって、本人の思い入れも強かったりするのだとか。名曲、「Beautiful」に引けを取らない美メロ・ハウスでもある。 |
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08. |
Reach
Out feat. Tasita D'Mour |
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デトロイト・テクノが黒人音楽の進化系であったならば、そこにディープ・ハウス的ボーカルとの親和性がない訳がない。このファンキーなベース・ラインにきらびやかなシンセが絡み付く漆黒の近未来的ソウルに、DJ
KAWASAKIが潜在的に持つブラック感覚を読み取る事ができはしないか?ここでも、常連、Tasita
D'Mourが存在感をいかんなく発揮している。 |
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DJ KAWASAKIの1stアルバムから一貫して伺えるデトロイト・テクノへの憧憬。逆に、デトロイトのDJ達が彼の曲を評価しているというのに、彼は決して謙虚な姿勢を忘れない。テクノから受けた恩恵を、彼なりにダンス・フロアーに還元しようという気持ちは変わらないのだ。そう言う意味では、アルバムの中で最もハードな形でその思いが結実したのが、この「Star
Force」なのかもしれない。 |
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10. |
Searching
feat. Daniela Bates |
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アルバムの最後を飾るのは、"カワサキ節"が炸裂する正統派のボーカル・ハウス。どんなにトラックが進化しようとも、彼は決して歌心を忘れてはいないのだ。いつも、DJ
KAWASAKIが聴き手にもたらすのは、哀しみを抱えながも、決して希望を失わないアンビバレントな感情。それは、単なるダンス・ミュージックのカタルシスではなく、人生のサウンド・トラックとして人々に受け入れられているに違いない。 |
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